黄ばんだ原稿用紙

 引っ越し前の整理をしていると青少年時代に書いた小説やら詩やらの原稿が見つかった。年齢を問わず自分が書いたもののほとんどはそれなりに整理してあるつもりなのだが、段ボール箱のすみに眠っていたりして、意外な発見をすることがたまにある。こういうときは妙にウキウキした気分になって古い黄ばんだ原稿を読んだりする。当時の自分の心境や世界観がよくわかって面白い。わたしの場合は今も昔も基本的なスタンスは変わっておらず、いわゆる「ネクラ」(笑)なものばかり。変わったのは技術的なものだけだが、この技術(いわゆる文章技術)というものも稚拙だから悪い、巧いから良いとは限らないもので、稚拙であるがゆえに筆者の心境がよく伝わったり、いい雰囲気が出たりするので文学というものは面白いと常々思う。

 最近見つけた手書き原稿で短いものをいくつかタイプしたので紹介してみよう。いずれもわたしが高校生(3年生くらい?)のときのものである。

<誌>
おはよう(青の世界1)

おはよう
僕の横から少女が声をかけた
おはよう
言い返した言葉とともに
ひととき太陽が雲の隙間から顔を出す
そして意地悪く笑うと
すぐにまた灰色の雲に隠れる
僕の涙いっぱいの目に
また青白い世界が
舞い降りてくるのが見えた

赤い叫び

夜の黒一色をつんざいて叫びが聞こえる
まるで誰かにすがるような
憐れんでもらいたいような
そんな声が
僕の脳を切り裂く
赤い赤い叫びがいったい何であるのか
僕にはわからないだろう
しかしその叫びをあげる者が
どんなに苦しいか
それだけはよくわかる
その者がいつ我が身とすりかわるか
明日かもしれないのだ
だからこそ叫びをあげる者の苦しみを
涙で悟ろうとしている
赤い叫び
それは僕の内部からも聞こえる

<随筆>
我に語る

一 感情
心配することは誰にでもできる。励ますことも誰にでもできる。同情も慰めも憎悪も批難も然り。だが、それを受け入れることのできる人間は限られている。

二 人格

人間はふたつに分けられる。友好的人間と非友好的人間のふたつに。前者は人々の中で幸福を感じながらも知らぬうちに神経をすり減らし滅びていく。後者は孤独に平和を感じながらもそれ自体の重みに押し潰されて滅びていくのである。

三 愛
生命を愛する者は屍を愛せぬ。だが屍を愛する者は生命をも愛せる。

雄弁な人間は言葉そのものを愛する。だが無口な人間はむしろ心を愛する。

四 楽園

誰かこう語ってくれる者はいないだろうか。
「癌病棟もまた楽園だ」と。

<散文詩>
憂鬱

一 枯葉
僕が立ち止まったこの並木道には死骸がごろごろしている。乾いた血の気のない醜い死骸だ。ぼくはそれらをわざと踏み潰しながら歩いてきた。ふと上を見上げると天井では処刑の真っ盛りらしい。あちらからもこちらからも死骸が降ってくる。そのうち一枚が偶然にも僕の額に落ちた。ぼくはそいつを手でつかむと粉々に握り潰した。美しいものに残酷なのはどうも僕の性格の一端であるらしい。だが、どちらにしても--なんのことはない、ただのありふれた午後だ。

二 幽霊
そいつは毎晩やってくる。「不安」と「希望」のふたつの衣服を身につけたそいつ--あるいは幽霊かもしれぬ。できるならそいつの「不安」のドレスをひっぺがしてやりたいが、非常に口惜しいことにそいつは「不安」のドレスを内側に着込んでいるのである。だからぼくは手を出せずに黙って見ているほかなく、少なくともその外見である「希望」にだまされぬよう心がけているのだ。なかなか狡猾な幽霊はそれでいつも自慢げである。ぼくはどうかすると気が狂わんばかりに怯えるが、それで案外幽霊の来訪を待ち望んでいるのかもしれない。矛盾だろうか?

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うーん、く、暗い……。けどこうだったなと思うし今もこうだと思う(笑い)。

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散文詩「鴉」

散文詩「鴉」
 朝起きて空を見ると、霧がかかったように視界の悪い日がある。
 このような日は総じて頭が重く、こめかみのあたりから油の切れた機械がきしむ音が聞こえてくる。窓から見える色の無い風景が、音も立てずにゆっくりと流れていく。
 窓のすぐ下の車道の様子はさっぱり頭に入って来ないくせに、何百メートルも先の電信柱にとまっている鴉の翼がはためくのがくっきり見えたりする。そのような時、なぜか息を殺している自分がいる。鴉に呼吸をあわせるかのように。
 本来は青いはずの-本当に青いかどうかは疑わしいが-灰色の空を見上げるとカビのような雲がきれぎれに散らばっている。そのままぼうっと見上げていると疲れた首が悲鳴を上げ、声にならない叫びが天上の彼方に吸い込まれていく。
 やがて窓の下から子供の笑い声が聞こえてくる。母親の嬌声と三輪車の音。悪魔の奏でる響き。
「コーヒー」の四文字が頭に浮かぶ。限界だ。これ以上窓際に踏みとどまってはいられない。暗い部屋の片隅でコーヒーと新聞。毎朝の決め事。

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創作詩「奴」

街を歩いていると奴をよく見かける
人通りが多い場所にはうようよいる
いくら巧妙に化けていても一目瞭然だ
大体が皮膚の色が違う
人間の皮膚がそんなに青いものか
この間は駅のプラットホームにいた
相変わらず高慢な顔つきで新聞を読んでいた
わたしが見ていることに気がつくと軽くこちらに会釈をした
かすかな笑いだが実に不気味だ
まるで胃の中を覗き込まれたような気分だ
声はかけられなかった
そいつはわたしに手を振ると人混みに紛れ込んで消えてしまった
追う気はしない

早くも別の奴が横にいる
花束を抱えた小さな愛らしい少女がこちらを見ている

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創作詩「ある晩のこと」

「ある晩のこと」

感覚は冴える
壁を這う電灯の光と陰
扉を照らし出し
まだら絵を描き
真空を焼く

空気は床を這い ソファを撫でて
キッチンを見る
出窓を覗いてから 客室へと向かい
窓を見やる

窓の外は異端児で溢れ帰り
寒空に臭気すら漂う
月は赤く燃えて
街灯はマッチ棒のごとき幽かな灯り
こんな夜には幽霊がよく似合う
ひしめくコンクリートの壁に挟まれて
薄命な幽霊達がぶらついている
公園は大騒ぎ
ブランコに乗り
滑り台で遊び
鉄棒でひと回り
真面目な幽霊達が楽しんでいる
だが
そのうち赤い月に霧がかかり
白き世界の始まりを告げる

感覚はいまだ冴えてはいるが
光は既に玄関にいる
下駄箱を確認して
照明のスイッチを切り
鍵を掛けて 戻る
うつろな世界へと戻る

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楽曲:「正月によろしく!」

久しぶりにオリジナルのロックを公開する。
この曲を作ったのは中学生の頃。
録音したのは大学生の頃。
ボーカルとギターがわたしで、後のパートは友人がやっている。
音質が悪いがずいぶん昔の録音なのでご勘弁を!

のってるかい!?
じゃあノリノリで行くぜ!
正月によろろしく!だ。
ワンツー!

正月によろしく!

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楽曲:激突

管理人がもし向こう1年間島流しになり、大岡裁きで「一枚だけレコードあるいはCDを持って行くのを許してやる」と言われたら、迷うことなく持って行くアーティスト、それはKing Crimsonです。

どの時期のクリムゾンも好きなので一枚選ぶのはとても悩むと思いますが、それだけ管理人はクリムゾンが好きであり、管理人の音楽もまたクリムゾンの影響を大きく受けているということになります。

ということで今回ご紹介する管理人オリジナルナンバーは、まさしくクリムゾンライクな一曲「激突」です。ライクというより、ほとんどモノマネに近いですね(w 違うのはギターが下手だということ(笑)今回もすべての演奏を管理人がやっております。ちなみにこのナンバーで使用したギターは前に日記に書いたシガー爺さん。ついでに書くと前回「聖なる騎士」で使ったのは、爺さんよりずっと若く高価なストラトタイプ。曲調から、あえてシガー爺さんを選んだのですが、うーんやっぱり爺さんだなあと思います。って、「ギタリストの問題じゃ!」とシガー爺さんに怒られそうですが(笑)

激突

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楽曲:聖なる騎士

いけませんね。管理人の唯一のとりえは、音楽とか小説とか詩とか漫画とか、内容は何でもいいから「創作的であること」だったんですが、最近とんと元気が出ません。生活に追われている?いえいえそれは言い訳であって、創作的な人間は、毎日たとえ30分でも時間があれば何かを作るものです。実際、管理人もそうだったから。時間のあるなしは余り関係ないんですね。要するに怠け者なんよ、管理人くん。自堕落なのはわかっているけど、同じ駄目人間でも創造的な駄目人間でいてね。管理人くん。あいや、わかりやした!

ということで自分にカツを入れるために、少し前、いや大分前、いいや思い切り前に作ったオリジナルアルバム、「イミテーション」のなかの1曲、「聖なる騎士」をアップしてみました。ちなみに、作詞、作曲、編曲、ギター、ベース、ボーカル、すべて管理人です(ドラムはリズムマシン)。一人バンド?寂しい。。。。(笑)

「聖なる騎士」

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